福島県大沼郡三島町の大谷川河床で発見された巨木が注目を集めています。

20205月に一般社団法人IORI倶楽部会員の方のご家族が埋没した巨木を発見、20212月に巨木を発見された会員の方が掘り出し、佐久間建設工業様が協力しました。そしてこの木の年代を調べるため、佐久間建設工業様は当社に年代測定を依頼されました。その結果、この木は53005600年前頃に枯死したことがわかり、研究者から近隣に位置する沼沢火山の噴火との関係が示唆されるに至りました。このことは地元福島県などの新聞に取り上げられ、地域の人々や自治体などに加えて、火山、地質、考古学など様々な分野の研究者からも関心が寄せられています。掘り出された巨木は、佐久間建設工業様が運営する「森のしごと舎」にて展示され、連絡すれば見学できます(写真1)。

当社は、放射性炭素年代測定という自社の技術を通じて今回の重要な発見に関わることができましたが、巨木の年輪を利用すれば、この木の年代をさらに絞り込むことができると予想されました。そこで、福島県に分析施設を置く地元の企業として、地域の災害史の解明に貢献したいという思いから、木を保管する佐久間建設工業様に提案し、より詳細な年代測定を実施させて頂くことになりました。

618日、佐久間建設工業様のご案内にて当社白河分析センター社員が現地を訪問、発見された木から切り取られた貴重な板を年代測定試料として頂きました(写真2)。乾燥による収縮が見られますが、木の保存状態は大変良好で、数百年分もの年輪が観察されます。

新聞報道以来、すでに何人もの研究者が現地に入り、埋没した木と火山との関係やその年代などについて検討が開始されています。当社も研究者の方々と連携しながら年代測定を進めつつあります。

これらの取り組みは、佐久間建設工業様やIORI倶楽部様をはじめとする地元の方々の熱心で積極的な活動に負うところが大きく、当社も地元企業として皆様と協力しながら取り組んで参ります。


〈発見された巨木の関連情報〉

森のしごと舎(佐久間建設工業運営)ホームページのブログ

http://morinoshigoto.blogspot.com/


写真1  IMGP0041(縮小)
(写真1 佐久間建設工業様「森のしごと舎」で巨木などが展示されている様子)



写真2 W1_2(縮小)
(写真2 年代測定試料として頂いた巨木の板)

(白河分析センター)